2018年8月3日金曜日

インテリジェント・デザイン

知性ある何か、によって生命や宇宙の精妙なシステムが設計されたとする説。
日本人には少し想像しずらいのですが、アメリカでは人間は下等生物から進化したという意味で進化論を信じる人は20%と少数派です。2005年に行われたアメリカの世論調査会社のハリス社の調査によると、アメリカの成人のうち
64%は=神によって人間は創造されたという創造説を信じている割合
22%は=進化論を信じている割合
10%は=高度な知性が作り出したというインテリジェント・デザインを信じている割合

現代的な進化論は1859年にチャールズ・ダーウィンが表した、種の起源から始まっています。ダーウィンは生物は生来の違いがあり、自然淘汰という生存競争を通じて、適者が勝ち残ることで、徐々に進化を遂げていくと考えました。ダーウィンの時代には遺伝子は知られていませんでしたが、ダーウィンは後に突然変異といわれる、個体にわずかな変化がランダムに起こり、その変化が個体にとって有利なら、生存競争を通じて子孫に伝えられることが、進化の原動力になり、人間を含め今あるような生物種ができ上がったとしました。
進化論は、キリスト教の聖書の教える、神が地上の生物を一度に今あるように創造したとする考え方と真っ向から対立するものでした。このため進化論はキリスト教の立場から当初激しい反発を受けましたが、化石の研究や、突然変異、メンデルの法則の発見などを通じ徐々に科学的事実と認められるようになって来ました。
ハリス社の調査では進化論を信じる割合は10年前と比較してむしろ減少しており、アメリカ社会の保守化とともに進化論に対する反発が強まっていることが示されています。化石が進化論の証明にはならないという人さえ、半数以上いるのです。
しかし、進化論に対し、いきなり神を持ち出して否定することはあまりに、科学的でないという考えも強まってきたのでしょうか。進化論の問題点を、科学的に指摘することを通じ、偉大な力の存在を気づかせようというのが、90年代後半から出てきたインテリジェント・デザインです。
インテリジェント・デザインでよく引き合いに出されるのは、バクテリアの仕掛けです。バクテリアは器用に毛を動かして自由に水中を泳ぎまわりますが、毛の構造はモーターが駆動力を作り出すように各部分が部品として適切に配置されています。ネズミ捕りでバネを一つ取り除いても道具として役に立たなくなるように、毛の部分、部分は必要不可欠なものとして機能します。こんなことが、突然変異という偶然と自然淘汰だけでつくりあげられるのでしょうか。そうではない、誰か高度な知性が設計しない限り、バクテリアの毛さえ作られるはずはない。インテリジェント・デザインはそう主張します。